3日目
乾燥するべきものは乾燥していた。靴以外は… 今日も濡れた足元で進むのか。きっと親不知海岸からの呪いだな。
朝食時に清水さんからの小屋閉めの挨拶があった。その後に皆さんの心配をしてくださった。放射冷却風に冷えていて木道つるつる注意とのこと。
殆どは北又から下山。栂海新道関係者はそちらに下山。蓮華温泉方面も多数。白馬岳に向かうのは昨日向かいに座っていたMさんと自分だけ。ただし蓮華温泉に向かうカップルさんと富山からの夫婦は雪倉経由だ。
ちょっと準備が遅れてほとんど最後尾出発。出発時にMさんと自分の清水さんから言付けあり。昨日白馬岳を出た二人が朝日小屋に来ていないという。昨日の雨風で雪倉避難小屋にいるだろうけれども見かけたら声掛けして欲しいと。
それは裏返せば、経験豊富だろうけど女性のソロといかにも経験少なそうな自分への気遣いだったのかもしれない。お互いにマーカーになれよと。まぁ今日のような好天で何も心配することはないのだけれども。
6時ころ(GPS開始忘れ)出発。
Mさんは雪倉経由のカップルと水平道から雪倉に向かった。自分は朝日岳ピークからの写真が取りたくて五輪高原経由で向かう家族づれと朝日岳に向かった。後から追いかけますよと声掛けして。
凍りつくハイマツ越しの白馬岳。いじりすぎの写真。
6時34分ピーク。結局ピークは眺望なし。凍てついてましたわ。
水平道との合流までの下りはさらに恐怖の木道多数。殺人か…
下りに入ると徐々にガスがなくなってきた。
この辺りでうまそうな沢水をそれぞれ口にする。美味しかったのだがこれがまずかったのかマズかったのか?
雪倉の稜線に取り付くまえのトラバースで急に晴れてきた。同時に先行者が目に入ってきた。
カメラが壊れてしまったカップルさん。その前はザックの色からするとMさんかな?
富山のご夫婦とは抜きつ抜かれつ。こちらは休憩無しで普通のペース。あちらは休んでは快足・抜き返しと忙しい。
稜線で行方不明の方とすれ違った。やはり雪倉避難小屋で風をやり過ぎしたらしい。
その後ちょうど雪倉岳で皆さん集合。9時38分。
写真を撮ってもらった。
改めて挨拶を交わしMさんと山荘に向かうことにした。ベテランさんなので先行してもらった。けれども後ろからおっさんに追いかけられるのはプレッシャーだったろうか?
風が強いのであまり会話も出来ず黙々と先へ進む。
10時13分雪倉避難小屋。吹きっさらしの中の安楽の地。快足夫婦がお茶タイム。その後また抜かれるのではあるが…
鉢ケ岳をトラバースしたあとのコルの辺りでMさん少しつらそう。少し下がって間隔をあけて自分のペースで歩いてもらって、休んでいるところで一旦先行させてもらうことにした。
鉱山道分岐11時1分。
分岐から少し登ったところで一息。
この辺りの景色の荒涼感は素晴らしい。去年家族と小蓮華からの稜線を歩いたときからここに来たかった。
景色に見惚れて早く上からの眺めが見たくなって少し急ぎすぎてしまったらしい。気付いたらMさんを見失っていた。自分の何十倍も経験のある人だがそれでも少し心配になった。今日はお互いがマーカーでもある。
姿が見えるまで待ってはゆっくり進みを繰り返して三国境に到着した。一度大きく手を降ってくれたので安心した。
12時44分三国境。ここでMさんを待つことにした。
ちょうど上からおじさまが降りてきた。話をすると77歳とのこと。20代はアルパインクライミング一辺倒で50年近く山から離れていたのが、数年前に再開。
ゲレンデスキーもほどほどだったのに八甲田山に90日こもって練習。今シーズンに鉱山道あたりに滑り込むために下見に来たという。この時間で蓮華温泉から白馬岳ピストンの帰りだそうだ。
すごい情熱。鉱山道へ軽々と降りていった。
ほどなくMさんと合流。三国境の風の少ないところでコーヒーで休憩。YSHRさんネタはここで話しただろうか?
山スキーをするのでやはりYSHR先生のことはご存知で、自分が毎日ブログを見ていることや個人的に知っていることなどをとりとめなく話した。
彼女は聞けば聞くほど経験豊富。色んな地名が出てくるが行ったことのないところばかり。普通に山ヤさんですよ。純粋に尊敬。
ゆっくりと20分近く休憩したあとは最後の登り。ゆっくりと登る。
せかせか歩き続けるのもいいけど、こういう山行もいい。
快足夫婦のようにポールをぐいぐい振って歩くのは彼らのペース。自分はふらーりふらりと腕組みしてゆるゆると歩くほうが性にあう。
13時17分白馬岳ピーク。
大学生と思しき3人組が昼食中。「(いっしょの)写真撮りましょうか?」と声をかけてくれたが「いやぁ我々は別々なんですよ」というと怪訝なかお。少し笑えた。
3人の内、二人が「さみぃ」と抱き合って頬をすりすりしているので、「君らはそんな関係なんだねー」と言うと「いやー違いますよー」と爆笑。
何をしてても楽しい学生時代はいいもんだ。
さぁ、あとは下り。いつものお気に入りの構図。 GWは寒かった
13時33分山荘到着。早くつきすぎたかな。もっと雪倉岳の景色を楽しめばよかったか?
それとも翌日あんなことになるなら杓子岳と白馬鑓に行ってくればよかったか?
上昇下降1294/783mで、距離11.801km
最高点の標高: 2920 m
最低点の標高: 1992 m
累積標高(上り): 1412 m
累積標高(下り): -901 m
平均ペース: 1.76 km/h
総所要時間: 07:18:03
荷物整理後は暖かさ恋しさに談話室のストーブ前でぬくぬくしながらビール。またMさんと取り留めなく会話。
彼女の今回の目標はどうも写真撮影らしい。
夕日の時間が来たのでと写真撮影開始。レリーズ握って本格的だ。
自分も写真を取ろうと部屋に戻ると同室者がいた。
少し会話。早くに蓮華温泉から上がってきて、杓子・白馬鑓に空身に近い感じで行ってきたらしい。
明日は清水尾根を下ってトロッコで泊に出るという。横浜から来たスタイリッシュな青年。
夕食は彼も誘って3人で。食後も朝日小屋で購入したワインを持ち出して3人で山談義。
彼はヤマレコユーザーでtaksizmさん。帰ってからレコを見たが、どれもこれも素晴らしい。どっかのだれかの備忘録のようなものブログとは全く違う。
きっと彼は今年の冬のボーナスで山スキーを購入するだろう。どっぷりハマるはずだ。
山スキーの話をしていたら、Mさんが自分とは初めての気がしないと言う。色々話していたらどうも昨年の2月28日の取立山での山スキーデビュー時の先行パーティーに居たようだ。
この後ろから2番目かな?
世の中は狭い。