長文必至。
初の本格トレランに参加。
入念に準備を重ねたことと、天候(暑すぎず寒すぎず、雨降らず、ぬかるみ少なめ)が大きく味方してくれたおかげで完走できた。
備忘録も兼ねて記録する。
トレランは孤独な戦いではある。
にもかかわらず前後に人がいないと何故か足が滞る。
人がいると同じペースもしくは追いつこうと足が動く。
本当に孤独なソロの登山とは全く異なる心持ちになった。
前後する人とはほとんど会話しないが、何か気持ちが通じるような感じになっていく。不思議だ。
抜きつ抜かれつつしながらペースを作り合う選手が何人かいた。彼らがいなかったら完走できなかっただろう。本当に感謝したい。
そういう意味では淡々と走るロードでは特に、足並みの揃った仲間がいると心強いかもしれない。
来年出場する気持ちになったら(まだ辛さが先に立って即答できない…)、来年出場する予定の581さんと共に進めば
きっともっと気楽に確実に前に進めるだろう。
大日山までは知っている町並みや山。それ以後は全く知らない山ばかり。
小大日から今立に抜ける稜線沿いにはびっくりするくらい美しいブナ林があった。手付かずの森だ。
鞍掛山も未踏だった。
鞍掛山への登りで振り返ると、夕日で海とタンボと潟が輝いていた。
小松と加賀が一望できる。
こんな低山でこの景色。地元民に愛されるのが分かる山だった。
山中温泉のすぐ近くのロードではホタルが舞っていた。10数年ぶりに見たな。
各エイド、ロードですれ違う人たち、数多くの方々から声援を頂いた。
登山道・林道すべてキレイに刈り取りされていた。
素晴らしい大会運営に感謝したい。
以下、細かい備忘録。
<体の準備>
所詮フルマラソン4時間前後でしか走れない走力です。
それでも少しはマシになるように
- ゆるい傾斜のロード区間は決して歩かない(逆に言えばきついところは歩く)
- キロ6-7分を維持
- ひたすらエコノミーに徹した走り(腕も足も振らない=足を使わない、上下動しない)
を実現すべく走り込んだ。練習でのペースはキロ6分前後でHRはほとんど130前後を維持した。
約6週間で440km、体重で約6kg絞り込んだ。
実際のロードでもゆるゆるとキロ6分少々で走った。
鞍掛山以後は暗くてヘッデンがあっても走れなかった。
<道具>
・シューズ
厚底にこだわってHokaOneOneで。
all terrainであるStinson 4 ATRはこれまでも練習で使ってきたもの。
防水で登山寄りに振ったSpeedgoat mid WPも用意した。雨で泥々の場合を想定した。
後者は医王山トレラン時に試着し走れることを確認。grip的には普通の登山でも使えると判断した。一応Vibramソール。
本番は比較的dryと予想できたので、前者を用いた。
前足部が広いので、下りで足が靴内で前に滑ってしまい指が詰まる感じがした。紐を締め直すことで改善した。
泥でのグリップは低い。岩場も少し滑る。クロスカントリーくらいで活躍しそうだな。
街なかのランとは違うことが起こる。
しかし77kmも走って全く足底の痛みが出ない。厚底のショック吸収は優秀だ。
ゲイターは使わず。石やら木くずやらは一度靴を脱いで除去した。
・ザック
手持ちのものはmont-bellの7Lの古いもの。ザック内の荷物の揺れが激しい。
OMMのPhantom 25CLは大きすぎ。宿泊縦走用だ。
贅沢かなと思いつつ中間のサイズのザックとしてOMM Phantom 12Lを調達した。
OMMの他のオプション品が使い回せるので。
今回の装備では少しスペースが余る印象。
ぴったり背中に張り付いてくれるので揺れは少ない。代わりに少し胸が圧迫される印象はある。
前方のポケットに水やジェルを入れれば揺れる要素にはなるがしょうがない。
ザックの揺れを体幹の回旋力に変えて腰を前に進ませるようなつもりでさばくように心がけた。
・フラスク
ジェルはソフトフラスクに移し替えて吸うことに。HydraPakのソフトフラスク購入。
今回はジェルで2000kcalほどの補給を想定していたので500mlと600mlの2つに満杯のジェルを持って走った。
ソフトフラスクは柔らかくて浅いポケットでは安定しにくい。ストロー部分が必ずバンドで固定されるように注意した。下りで飛び跳ねたときに一度落ちてしまった。
それでも長距離をザックを下ろすことなく移動するには最適の方法。
空になれば水を入れて使える。
・ハイドレーション
ケーブル型のハイドレーションパックを使うと摂取は楽だが、残量がわからないことと補給が不便。普通に500mlのボトル形状のものを使うこととした。
今回のザックポケットにぴったり収まるものを新たに探して購入、小さなカラビナで落下防止対策を施した。
予備水は1LのPlatypusに入れて適宜補充とした。
・ウェア
ファイントラックのアクティブメッシュ。
上半身は半袖激薄のPatagoniaシャツに汗拭き(リストバンド)を兼ねたアームカバー。mont-bellのジオライン生地のもの。
下半身はハーフのタイツにteron bros.のショートパンツ。パンツはポケットが使いやすく必要なものをすぐ手の届く場所に。
靴下はハイソックスを足首まで下げた状態で使用。
藪や岩が気になるところではアームカバーと靴下と手袋で素肌を露出しないように保護した。
手袋はジオライン生地の薄手のものを使ったが弱い。軍手がよかったな。
雨具は上はトレントフライヤー、下はバーサライトパンツ。手袋はアクシーズクインのもの。薄くて軽量。全て使わなかった。
帽子はいつものmont-bellのもの。
・サングラス
ずっと頭に乗せていたが太陽が出ることはなく使わなかった。
・ポール
要らね。足元の岩や枝を腕で掴んで動くほうが安定しているので。
<食料計画>
フルマラソンの2倍くらいのカロリー消費と考えた。6000kcalほど。
体内貯蔵で2500kcal。エイドで1000-1500kcal補給。2000kcalは担いでいく方針で。
すべてジェルとした。
エイドで思ったよりも補給できたので、ジェルは1/5ほどが余っただろうか。
他に塩タブレット多数(12-3個使用)。アミノバイタル8袋(3袋使用)。
好みのパンも一袋だけ持っていったが食べなかった。
ちなみにエイドの提供品の内容は(うろ覚え)
エイド1 水のみ
エイド2 水のみ
関門1 水・コーラ・ドライフルーツ・バナナ
(私設エイド トマト)
エイド3 水・コーラ・甘味餅?・ドライフルーツ
関門2 水・コーラ・そうめん・おにぎり・オレンジ・ドライフルーツ
関門3 水・コーラ・オレンジ・ドライフルーツ・娘々饅頭
エイド4 水・コーラ・甘味ゼリー?・オレンジ
関門4 水・コーラ・オレンジ・ドライフルーツ
エイド5 水・オレンジ
ゴール振る舞い うどん・カレーライス
そうめんは3杯、おにぎりは1個、いただいた。食事って大事。ジェルでは癒やされない。
エイドの内容はこれくらいで良いと思う。食べまくればジェルは半分に減らせるかもしれない。大した荷物ではないが。
<水分計画>
エイド区間の長いところでは1000-1500ml、エイドが近いところでは500-1000ml担ぐこととした。
最初のみポカリスエットを入れていった。あとは薄まっていって、足りない塩分は塩タブレットで。
各エイドで500mlは必ず補給したので燃費が悪い。しかもほぼ各エイドでコーラを1杯ずつ飲んだ。
コーラ最高。カフェインと糖分が効いているんだろうな。
お試しでジェルの残りの入ったフラスクに水とコーラを半々でぶっこんでみたが、これがなかなかいける。
コーラ無敵。ペットボトル1本持って走ってもよいな。
<ペース配分>
地図と高低図・データを見ながら計画。想定時間と実際の所要時間。ついでにコースの感想も。
垂直移動は800m/時間、水平移動は6分/kmでおよそ想定しています。
なかなか妥当なところだったと思う。
区間 | 登り(m) | 下り(m) | 距離(km) | 想定時間 | 所要時間 | 通過時刻 | 備考 |
スタート-水無山 | 300 | 30 | 2.5 | 40min | 30min | 5時30分 | 渋滞に巻き込まれる。前が少し開いても慌てずに。差はでない。そういう意味では前の方にポジションを取るべきか。 |
水無山-刈安山 | 280 | 110 | 5.0 | 1hr | 54min | 6時24分 | 同じく渋滞気味。ウォーミングアップ的に少し走ろう。エイド1は水のみ。 |
刈安山-我谷ダム | 70 | 400 | 4.0 | 40min | 27min | 6時51分 | 稜線は林道。とばして走れる。風谷峠からの下りもふかふかトレイルで走れる。 |
我谷ダム富士写ヶ岳 | 800 | 0 | 3.5 | 1hr30min | 1hr7min | 7時58分 | 登山その1。登山道の登りは一切走っていない。 |
富士写ヶ岳-九谷ダム | 20 | 750 | 3.0 | 40min | 34min | 8時32分 | 下山で滑りまくり。手袋つけて掴めるところは何でも利用。エイド2は水のみ。 |
九谷ダム-関門1 | 100 | 70 | 5.0 | 40min | 35min | 9時7分 | 淡々とロードのラン。単調な景色にげんなりするが仕方ない。関門1でfood補充。 |
関門1-大日山登山口 | 220 | 10 | 5.5 | 1hr | 50min | 9時57分 | 登り基調のロード。後半は早歩きになった。意外ときつい。九谷ダム以降のロードは前半の山場。 |
大日山登山口-大日小屋 | 890 | 0 | 4.2 | 1hr30min | 1hr23min | 11時20分 | 登山その2。黙々と登るのみ。 |
大日小屋-大日山 | 117 | 62 | 1.0 | 10min | 24min | 11時44分 | 小屋で水やジェルの入れ替えしていた時間込み。沢を2回渡る。 |
大日山-小大日山 | 50 | 230 | 2.1 | 30min | 23min | 12時7分 | 比較的走れる下り。 |
小大日山-ロード下山 | 170 | 870 | 6.5 | 1hr | 1hr23min | 13時30分 | 我慢の稜線その1。稜線をつなぐところはアップダウン多くあまり走れない。しかし時々素晴らしいブナ林が出てきて超癒やされる。林道に出てから川沿いの通りに出るまでは走れる。 |
ロード下山-関門2 | 40 | 80 | 3.1 | 20min | 17min | 13時47分 | 県民の森関門までの林道。走るべし。関門でそうめんとおにぎりが待っている。10分大休止。 |
関門2-関門3 | 200 | 450 | 5.8 | 1hr | 1hr
(関門2の休憩除く) |
14時57分 | 最初のロードは淡々と。峠への登りも淡々と登山。峠ではいい風が。しかし下りは急坂の滑り台。滑落注意。それも林道に出るまで。林道は走るしかない。関門3閉鎖まで2時間の猶予で到着。完走を意識しだす。三童子山スカイラインに備えて水は多めに補給を。 |
関門3-エイド4 | 650 | 560 | 8.6 | 2hr30min | 2hr36min | 17時33分 | 鞍掛山分岐まで急登多く50分。その後は我慢の稜線その2。三童子山スカイランはいつ終わるともしれない繰り返すアップダウンで1時間30分の地獄。景色もなく変わった植生もない。三童子山からの下りは急坂だが突っ込むしかない。この区間、地図で線を引くと登り650mだがGPSでは850mだった(汗)。 |
エイド4-関門4 | 40 | 150 | 3.0 | 30min | 25min | 17時58分 | 癒やしのロード区間。淡々と走るべし。 |
関門4-鞍掛山 | 350 | 0 | 2.5 | 40min | 44min | 18時42分 | 登山その3。夕日をバックに登る。美しすぎる小松加賀の平野部。面倒でもピークに行くべし。愛される山の所以が分かった。 |
鞍掛山-エイド5 | 50 | 440 | 4.3 | 40min | 53min | 19時35分 | 沢近くで日の入り。ヘッデン付けても暗さに順応できず走れない。 |
エイド5-ゴール | 160 | 60 | 6.0 | 1hr | 1hr10min | 20時45分 | 最初のロードは普通なら走れる斜度だがもう早歩きしかできない。でも隣を走っている人と同じスピード(笑)。みんな走れない。山道に入ってからもヘッデンの明かりでは怖くて走れない。山を超えてロードに出てようやく下りを走る気になる。そのロードでホタルの光を見つけて歓喜。町中のへんちくりんなライティングより美しい。 |
もらったTシャツはかっこいい。ドヤ顔で着よう(笑)。
GPS記録。途中で腕時計のバッテリーが危なくなってきたので、第4関門前から携帯で記録。
距離はだいたい正しい。80kmじゃん。累積標高はあやしい。別のソフトで見ると5063mであった。
最高点の標高: 1366 m
最低点の標高: 65 m
累積標高(上り): 6779 m
累積標高(下り): -6781 m
平均ペース: 6.46 km/h
総所要時間: 12:42:57
最高点の標高: 475 m
最低点の標高: 37 m
累積標高(上り): 1573 m
累積標高(下り): -1573 m
平均ペース: 7.49 km/h
総所要時間: 03:01:41