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しびれる経験

後輩の向かいに立ち後輩の仕事をアシストしている時によく思う。

上手に仕事をこなしている。何事もなくgood job!って感じで終わることがほとんど。

時にややこしい事例や状況に陥った時も、こちらとしては想定の範囲内なので適当にアシストしたり助言したりして事なきを得る。

彼が少しはどきりとしただろうか?

ことさら聞かないので分からない。

ただ、少なくとも向かいに立っている自分がいることで安心して仕事を進めることができ、結果的にうまくいっているので力がついた気になっていることだろう。

自分は少なくともそうだった。

仕事を始めて10年くらいまでは、向かいに立っている先輩の細かなアシストや助言があったにも関わらず、さも自分が力をつけたように過信していた。

田舎の職場に出され孤立無援で独り立ちしてみると、如何に自分がのぼせ上がっていて一人では何もできないかを思い知ることになった。

これまで向かいに先輩がいれば何事もなく終わっていたはずの仕事を翌日に控えていたとする。

前夜には何か不測の事態が起こったときのことが頭をちらつき眠れず、当日は手が震え落ち着かなくなり、周囲のスタッフに緊張感を与え、大きな汗をかきながら、しびれながら仕事を終える。

そんな日が2ヶ月位は続いただろうか。

当たり前のことだが、そんな状況を打破するには徹底的に準備をするしかない。

ありとあらゆることを想定して勉強をし、道具を揃え、シミュレーションをして臨む。遠方の先輩に電話をして相談したり助言を受けることもあったし、中には実際に出張してもらい手伝ってもらうこともあった。

だが、基本的にはすべてを自分一人で行った。

1年が過ぎる頃には、大抵のことには不測の事態には動じなくなり、平穏な心持ちで仕事にあたることができるようになった。

今、向かいに立っている後輩はどのように育つだろうか?

出来るだけしびれる思いをしてくれるように、あまり口を出さず手を出さない。

もしかしたらロートルがボーッと立っていると思われているかもしれないが。

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