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猫又山 撤退

5月4日はNishidenさんと猫又山を目指した。

1450mくらい

天気は予報通り最高。斜面は新雪でつるつるで稜線近くには樹氷があり美しい。
これで稜線から剱岳を眺め、猫又山ピークでお昼を食べたら至高の山行だ。

多数の真新しいデブリがある

わかりきっていたことではあるが降雪後の谷である。左右の枝沢からの昨日のデブリが多数あり、きれいな点発生表層雪崩を呈している。
1800mで幕営していたという4人組とすれ違った。弱層が危険で先に進まず帰るとのことだった。

1800−1900mあたりも中央にデブリがあるが、まだ雪崩れていない雪が周囲に豊富にある。まだ2本のトレースはない。

進む谷の1900m辺りにも中央にわずかにデブリが見える。ほかはまだ雪崩れていないようだ。
1500mあたりを歩いている頃には上記の斜面に陽が入るようになってきていた。気温の上昇とともにいつか雪崩れるだろう。残っている枝沢も同じ。釜谷と猫又の間のコルに続く谷もまだ雪崩れてはいなかった。

とりあえず両者の出合の尾根の先端下で休憩し今後を協議した。

以前の毛勝谷で同じような状況(ヤマレコ限定レコ)に出くわしたことが頭にあった。

毛勝山の稜線下の登行。
このあと雪崩れた。

その時はピークまで行き昼を過ぎて滑走に入った。デブリが多数ある谷の両端を多くの登山者が登っている最中に、おそらく我々が誘発した雪崩が発生した。
幸い走路には誰もいなくて自分たちが流されただけで済んだが、うち一人の板は折れた。体に支障がなく本当にラッキーだった。

流された一人は緑、一人は赤。

標高で2140mから1820mまで、水平距離で500mほど流された。

今日も同じコンディション。いつか必ず雪崩れる。
それが登っている時なのか滑走時なのか他の登山者が登っている時なのか誰もいない時なのか…
それとも翌日なのか。
ロシアンルーレットと同じこと。
この日に無理して行く山でもない。
我々が進むと、後続の中には無思考に進む者もいるかもしれない。自分たちでちゃんと判断してやめたり進んだりする者もいるかもしれない。
我々が雪崩を起こして後続を巻き込むかもしれない。
Nishidenさんがピットテストをした。弱層が明瞭であることを確認して、自分は進む気が起こらないことを伝えた。
Nishidenさんは同意してくれた。

ということで、この日は撤退した。

最終堰堤で補給をしながら谷を望遠で観察していると、稜線から二筋の下降者のトレースが見えてきた。ツボ足だった。

二人降りてきている。下に後続がいることは視野に入っているだろう。

どうやら彼らはヤマレコで見知るメンバーだったが、彼らは昨日から入った(ヤマレコ限定レコ YAMAP) とある。
内容の是非は書かないが、無事で良かったとしか言いようがない。体力と経験があったから槍ヶ岳のような遭難にならなくて済んだのだろう。それも含めて実力なのだろう。

彼らの下山はなんともまずいタイミングだった。後続の人たちは無事に降りてくる二人を見ている。
後続者の危険性の判断にバイアスがかかるだろう。
そして後続が進んで行くのが望遠でも分かった。
何も起きないでくれと願った。

結果的に、後続はYAMAPの記録によればピークまで無事に達したとのことだった。
ただし帰りに登行時には無かった登路にまたがるデブリを見ているようである。通過時でなくて良かった。

しかし、しかしだ。
そもそもこんな日に谷に入る山行を計画すること自体が間違っていた。
理屈が分かっている人は雪崩そうにない場所(例えば薬師岳とか)を選んでいる。賢明だ。
そういう考えに至っていない自分を猛省したい。

合計距離: 23641 m
最高点の標高: 1547 m
最低点の標高: 340 m
累積標高(上り): 1389 m
累積標高(下り): -1387 m
平均ペース: 10.44 km/h
総所要時間: 06:50:55
Download file: 20210504猫又山撤退.gpx

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