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針ノ木谷経由、読売新道で赤牛岳、竹村新道下山

ようやく赤牛岳を踏めた。

日付

2021年10月9-10日

メンバー

ソロ

天候

山行初日の天気図、実際の天候は曇り時々晴れ
二日目の天気図、実際の天候は晴れ

アクセス

七倉山荘駐車場。

装備

  • ベースレイヤー Rab pulse hoody
  • ミドルレイヤー Norrona merino混紡薄手フリース、patagonia R2 jacket、mont-bellダウンパンツ
  • ウィンドシェル Karrimor
  • アウター mont-bell トレントフライヤー上下、二日目朝露対策で下を着用
  • パンツ タイツ2種類(普通のと沢用)、山と道5ポケットショーツ
  • 帽子 patagonia
  • ヘルメット Petzl シロッコ
  • 靴下 point6
  • 手袋 ワークマン笑
  • ザック Exped BlackIce 30L
  • ブーツ HokaOneOne、mont-bell サワタビ
  • 幕 Oxtos ロングツェルト
  • マット THERMAREST、ザック外付け
  • シュラフ SeaToSummit SPII
  • 着替え ベースレイヤー・パンツ・靴下

エネルギー

(アルファ米+お茶漬け)×2、ビーフシチュー、味噌汁×2、棒茶×2、たまご汁、パン×3、バー×2

コーラ500ml、オレンジジュース500ml、水1Lを担いで入った。
奥黒部ヒュッテで4L担いで最後には1.5L残あり。

地図・標高

合計距離: 16360 m
最高点の標高: 2481 m
最低点の標高: 1058 m
累積標高(上り): 2871 m
累積標高(下り): -2438 m
平均ペース: 2.47 km/h
総所要時間: 09:06:48
Download file: 20211009.gpx
合計距離: 39704 m
最高点の標高: 2978 m
最低点の標高: 1058 m
累積標高(上り): 3666 m
累積標高(下り): -4091 m
平均ペース: 4.72 km/h
総所要時間: 17:42:34
Download file: 20211010.gpx

コースタイム

一日目
七倉山荘 02:39 – 03:41 唐沢ノゾキ – 04:17 岩小屋 04:23 – 05:05 鼻突八丁(八合目) 05:15 – 05:49 天狗の庭 – 06:34 船窪小屋 06:36 – 06:43 七倉岳 – 06:48 船窪天場 – 07:10 船窪乗越 07:13 – 07:43 船窪岳分岐 07:53 – 09:54 黒部湖避難小屋 – 09:59 平ノ渡場 – 10:05 平ノ渡場・仮設 10:13 – 11:46 奥黒部ヒュッテ

二日目
奥黒部ヒュッテ 00:25 – 05:23 赤牛岳 05:58 – 06:24 南赤牛岳 06:28 – 07:22 温泉沢ノ頭 07:23 – 08:07 水晶岳 08:10 – 08:36 水晶小屋 09:13 – 09:38 東沢乗越 – 10:33 真砂岳分岐 10:36 – 10:39 真砂岳 – 11:00 野口五郎岳 11:01 – 11:22 真砂岳 11:27 – 11:29 真砂岳分岐 11:31 – 12:13 南真砂岳 12:16 – 13:15 湯俣岳 – 14:47 湯俣温泉晴嵐荘 14:56 – 15:08 湯俣山荘 15:13 – 15:54 名無避難小屋 – 16:12 林道終点 – 16:28 東京電力高瀬川第五発電所 – 17:06 高瀬ダム湯俣登山口 17:07 – 17:11 高瀬ダム濁沢登山口 17:12 – 18:04 七倉登山口

コース状況

七倉山荘 – 船窪山荘 – 船窪乗越 : 今回のコースの中ではもはや高速道路です。

船窪乗越 – 船窪岳分岐 : 少し高度を上げつつ左にトラバース。やや悪路、スリップ注意。4-5個小尾根を超えると船窪岳北面の尾根に乗り上げる。以後はふかふかの尾根を下る。

船窪岳分岐 – 避難小屋 : 前1/3は細かく渡渉しつつ右に左に。中1/3は針ノ木側を大きく高巻く。後1/3は少し広い河原を行ったり来たり。南谷を合わせると更に広くなり、最後に橋を渡れば人工のような堤防上を歩く。少し左岸を高巻くと避難小屋。渡渉は7-8回あるが、足首までしか濡れない。この時期は水が少ないのもあろう。沢靴を持っていったが、なくても良かったか。石はぬめりが多く、ラバーソールでは滑る。

避難小屋 – 奥黒部ヒュッテ : ダム湖右岸にほぼ水平につけられた道。アップダウン、沢超えのためにはしご多数あり。水は何箇所も取れる。東沢を橋で超えるとヒュッテ。

読売新道 : 8分割を数えつつ歩く。下部は巨岩と巨木(の根)のジャングルジム。その後砂州と岩場のミックス。岩場は方向が分からなくなりやすい。ルーファイ必要。明るいときに歩きたかった。

赤牛岳 – 水晶岳 : 岩稜帯半分、砂州半分くらいの感じ。適当に巻いてくれるので小ピークの数ほどのアップダウンはない。稜線満喫。

真砂岳 : かすかにトレースがあり登れる。

竹村新道 : 上部はトレースは分かるがハイマツ枝こぎ。下山向かって右の斜面の崩壊多く、危ないところもある。湯俣岳を過ぎて下部は笹天国。背丈を超える笹に覆われる。

晴嵐荘 : HPには食堂メニューでカレーを紹介しているが、宿泊限定と断わられた。シーズン終盤ゆえと思いたい。

ギャラリー

記録

赤牛岳に行きたい。
ワンディする力はない。いやあるのかもしれないが、ワンディのリスクマネージは難しい。
ビバーク上等で行くとしたらそれなりの防寒装備が必要だし、今回のような切り詰めた一泊装備と重量はそう変わらないだろう。この二日間の行動時間を考えると結果的にワンディは無理だった。
そして、コロナ禍では公共交通機関は使いたくない。
出入口を別にしてチャリで解消するのも無理そうだ。二泊の時間はもう取れそうにない。

2週前に3連休を作っていたのは本当は今回の山行のため。予備日を一日設けて、船窪山荘-針ノ木小屋間の未踏区間も含めて回るためだった。
その実行一日目に船窪小屋で会ったお姉さんに針ノ木からの下降が厳しいという話を聞いてしまい、次の日の予報が雨に変わったこともあって、その日のうちに針ノ木小屋から扇沢に降りてしまった。
扇沢-七倉山荘のタクシー代を払うという精神的なダメージも受けてしまった。

今回は完全に二日間晴れる。もう来年は無いつもりで臨んだ。

通ったことのない道の問題点の一つは、針ノ木沢の渡渉と晴嵐荘前の渡渉。流されるような量ではないことは分かっていたが、沢タイツと沢靴を持っていった。
ロング行程のテント泊をどうするか。軽量化したい。
奥黒部ヒュッテは標高の低い樹林帯。これはツェルトに薄手のシュラフで十分だろう。自分の持っている装備で最軽量のセットになった。宿泊用のダウンパンツも含めて宿泊セットで1kg超くらいだろう。
同時に食事も遊び要素なし。固形燃料と水でなんとかなるものばかり。アルファ米は大嫌いだが、お茶漬けの元があれば美味しく食べれる(流し込める)ことが分かったのでそれで。
食事水を抜いたパックウェイトは6kgくらいだったろう。まあまあUL。
奥黒部までは水の補給に心配はないが、奥黒部ヒュッテから晴嵐荘まで補給できるところはない。その区間は4L担いでいった。
カフェインブースト用の黒コーラ500mlをに担いでいったのが唯一の楽しみか。
装備は30Lのザックに詰めて、沢靴とマットを外付けした。

前夜は仕事が早く終わることが分かっていたので、終わり次第即移動開始。22時過ぎには七倉山荘に到着して車中泊。
2時に起きてスタート。船窪への道は3回目。もう覚えちゃったよ。
先が長いので消耗しないようにゆっくり進んでいると、天狗の庭あたりで日の出。まあまあ美しい。

この道を何度も歩いていると、対面の唐沢岳がとても気になる。餓鬼岳も未踏だし燕岳との間も歩いていない。
いつか行かねば。
唐沢岳の西面は沢・岩のコースでもあるらしい。それは無理だろうけど。

船窪小屋はすでに閉まっていて冬仕様。冬季小屋を確認した。4-5人は泊まれるだろうか。

少し補給して再スタート。船窪乗越までの道は特に問題ない。
乗越からは谷筋を下っていくのかと思いきや、左側に登りつつトラバースしていく。地図を確認すると船窪岳の北尾根までトラバースして尾根を下降するらしい。
沢道だと思っていたので拍子抜け。というか地図見てなかったのかと自分にツッコミ。
ここが意外といい道で、ふかふかの落ち葉道は気持ちよかった。
また第2船窪ピークの斜面の紅葉が素晴らしくきれいで目の保養になった。

針ノ木谷に降りて、分岐のマーキングを確認。これなら沢を遡上してもそうそう見逃さないだろう。
ここで沢靴に換装。
スタートしてしばらくは左岸の歩きやすいところを適当に歩いていく。水線は細く小川のよう。どこでも渡れそうだ。
右岸にしっかりとマーキングされた道が見えたので適当に渡渉。足首までも濡れない程度。
以後は割としっかりと分かるトレースを追って進むと普通の山道ばかり。中1/3は右岸を大きく高巻く感じで水線は遠い。トレースもしっかりしている。
後半はまた沢に戻り3-4回渡渉しただろうか。
南沢出合はロープが渡してある。このあたりまでくるとそこそこ水量があってハマると大腿まで濡れそうだが、場所を選べばやっぱり足首レベル。
橋を渡れば整備された河原に出る。左岸を高巻いたら避難小屋。あっけなかった。
沢靴裏はmont-bellのアクアグリッパーだったが、ぬめりのある石はよく滑る。かといってそれ以上の装備もいらない。

平の渡しではちょうど船が着いたところで、3人上がってきた。みなさん針ノ木谷に向かうよう。
一人は日帰り装備だったので、針ノ木小屋経由で扇沢に降りるのだろう。
この方が言うには、針ノ木小屋と針ノ木谷の間は今年は整備が入っていなくて通過は難しいとのことだった。通っている記録はあるにはあるが。

黒部湖畔の道ははしご道。関電の仕込みであろう。とんでもないところにかかっているが、落ちないように踏み抜かないように祈りながら通過。
途中で赤牛近くでビバークしたという方とスライドした。飄々とした風貌の方だった。何か冬にも会ったことのある方のような…
意外とアップダウンがあって時間もかかるし疲れる。
小さなトイレ風の小屋が見えてきたらもう少し。

奥黒部ヒュッテ前は東沢と黒部川の出合になるが、東沢を木製の橋で渡れば到着する。
誰も居ない。小屋は閉まっている。
小屋の周囲を確認するが水場はない(止まっている)。まあ川はそこにあるので、何も気にすることはない。
川の水で食事を作り、お茶を飲み、歯を磨く。
テント場は砂地でペグが効きにくい。適当に石を用いてツェルトを安定化。虫も多くはなく快適。
軽くお昼を食べてもまだ13時。することもないので、お昼寝で寝溜め。16時に起きるとテントが一つ立っていた。
夕食を作っていると、主が竿を持って帰ってきた。パッと見、釣果はなかったよう。
大きな声で挨拶だけ交わす。
夕食を食べると、谷あいはすでに暗くなりつつあり、18時にはまたシュラフに潜って音楽を聞きつつ睡眠に落ちた。

23時45分起床。乾き物で朝?ご飯をパッと済ませてパッキング。ツェルトは結露で濡れているのでビニール袋に突っ込んで仕舞う。
朝露対策に下半身は雨具を着用していったが、下部はなんともなかったので2/8で脱いだ。むしろ5/8を過ぎてハイマツ笹になってからの方が濡れた。
4/8ほどまでは急登だし巨木の根と巨岩の連続で、ジャングルジムのよう。そこを過ぎると少しづつハイマツと笹が交じるようになり、6/8からはほとんど白砂と岩場が続く。
ずっと真っ暗だったので岩場に入るとマーキングを見逃しそうになる。特に6/8-7/8間は左の斜面をトラバースしていくが、ルーファイが少し必要。明るければそうでもないのだろうが。

6/8まで来たところで、予定よりも30分ほど早いことに気づいた。赤牛で日の出の予定なのだ。
風がかなり強く日の出前のピークでは凍えてしまうだろう。
休憩を兼ねて風を防げる岩場で防寒具を着込んで朝のティータイムにした。真っ暗だけど…
20分くらいのんびりして再スタート。ダウンパンツはしばらくはいていく。寒いんです。

7/8あたり(マークを見逃した?)で少しずつブルアワーが到来。うっすらと立山や黒部湖が見えてくる。快晴だ。
最後の稜線は、崩落地があったり崩れそうな岩場があったり少し注意が必要。
撮影しつつのんびり登っていくとピークに到着。大体5時間くらいかかったか。予想日の出までは15分ほどあるだろうか。

風のない良いポジションに腰をおろして日の出を待つ。徐々に明るくなりその時が来た。
今日の赤牛での日の出は自分だけのモノ。自己満足に浸った。

赤牛の西には薬師見平という平坦地がある。漠然といつか行きたいなと思っている。ここで薬師を見上げて寝たらいいのだろうなぁと。
尾根の行方を追っていくが、ハイマツ帯になりそうなところから下は見えない。
随分な藪こぎになるのだろう。
普通は上の廊下から中ノタル沢を詰めて入り、藪こぎを経て赤牛に出るらしい。

360度の朝焼けを目に収めた後に、再出発した。先は長い。

稜線の全ての小ピークを踏むわけでは無くあちこち巻いて行くようだ。
向かって左側を巻くときは風が無く日差しを受けて暖かい。右側を行く時は日差しが無く風を受けて凍える。極端だ。
レイヤリングを悩みつつ進む。

途中には二重山稜部分などがあり、どう見ても闇テン跡としか思えないところがある。
気持ちは分からないでもないが、やはりダメだろう。

コツコツと進むと徐々に水晶が近づいてくる。近づくとピークの人影が見えてきた。
何人かはこちらに向かっているようで、7-8人とスライドしたろうか。
三俣からピストンの人がほとんどだろうが、日帰りトレラン風も一人いた。

水晶のピークでは記念撮影してすぐに次へ。
水晶小屋の影でゆっくりと朝ごはんにした。お湯を沸かしてお茶漬け、スープ。そしてコーラを飲み干した。

さぁ、あとは無理矢理野口五郎まで行って裏銀座をコンプリートするのみ。
尾根の右側は大きく崩れた谷で、この崩壊は伊藤新道にも影響したのだろうか。
慎重に下っていく。
うってかわって東沢乗越はのどかな丘陵のような場所。東沢から遡上してきたら天国を感じるのだろうな。
そして水晶小屋下も含めてこの斜面はスキーに値する。残雪期に2−3泊してこのあたりで遊んでみたいものだ。

少し歩くと竹村新道との分岐に着いた。
先日の野口五郎岳山行では野口五郎岳−真砂岳分岐間を踏んでいない。今日踏まなかったら一生残しそうだ。
分岐にザックをデポしてカメラだけを持って野口五郎岳を往復した。
ついでに真砂岳のピークにも寄っていく。これで心残りはない。この山域は歩き切った。

さて、真砂岳。南真砂岳よりも高く、立山連峰の真砂岳より1m低い。
南真砂岳と立山の真砂岳は百高山に選ばれているのにここの真砂岳は選ばれていない。
可哀想だ、あまりにも可哀想だ。
しっかり踏んできたよ。

最後に竹村新道を下る。
引き続き右の谷は崩壊系。何箇所か怖いところもあるが慎重に通過。
南真砂岳には100m弱登り返す。これが暑くてつらい。
ピークにはこれまた闇テン跡があった。
百高山を一つ踏んだ。

先行するパーティを抜いてどんどん下降する。そしてまた少しお椀形状の丘を登り返し。
樹林帯のなかの湯俣岳だ。ピークからはなんにも見えない。

以後、ひたすら笹薮の中を下降。もうずっと笹。景色が変わらない。
エメラルドグリーンの湯俣川が見えると、湯気のような陽気と硫黄臭に包まれる。
もう少し。
やっと晴嵐荘に着いた。

なぜ晴嵐荘に行ったか。
もちろん南真砂岳を踏むという目的があったのもあるが、それだけではない。
HPを見るととても小洒落ているし、特製カレーがあるというではないか。
これは食べたい。
到着すると同時に山荘の方に聞いた。カレーはありますか?と。
すると、「宿泊者限定です」と断られた。
HPの記載と違う… もうシーズン終盤で残数の計算に入っているのか…
諦めてポカリスエットだけ頼んで飲み干した。

心の中で泣きつつ(笑)、沢靴に換装して渡渉した。
長い長い林道を、残りの食材を消費しつつテクテク歩いた。
ダムを越えると徐々に周りは暗くなり、最後はヘッ電下山になった。

カレーが食べられなかったのは残念だったが、もしかしたら天上沢に入ることもあるかもしれない。
その時の楽しみにとっておこう。

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