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白出沢から入り奥穂高・西穂高縦走しロープウェイで降りる

登山道ってなんだろう?って考えさせられた。

日付

2022年8月28日日曜日

メンバー

ソロ

天候

山行当日の天気図
実際の天候は、稜線では6時40分頃まで降水した。

アクセス

車で新穂高登山者無料駐車場まで。土曜21時で2-30台は停められそうだった。

ウェア

  • ベースレイヤー Rab force hoody
  • ミドルレイヤー Rab alpha flash jacket
    山荘で体が凍えたので着用。その後温まるまで雨具の下に着続けた。天狗の頭のコルで脱いだ。
  • ウィンドシェル Karrimor wind shell pull over
    白出沢の上部ガレ場に入ってから着用し小屋で雨具に変更。天狗の頭のコルで雨具から変えてピラミッドピークまで着用。
  • アウター 下半身はmont-bellトレントフライヤー、上半身はArc’teryx alpha SL anorak Hadron
    雨は止んだが小屋で着用。天狗の頭のコルで上半身を脱ぎピラミッドピークで下半身を脱いだ。
  • 帽子 mont-bellジオラインクールメッシュキャップ
    ロープウェイに乗る前に匂い対策で穂高山荘で購入した手拭いを頭に巻きつけた
  • 靴下 mont-bell point6 中厚手
  • 靴 mont-bell ツオロミーブーツ
    軽登山靴の範疇だろうが自分にはこれで十分に固くて岩場でも問題ない
    現行のアルパインクルーザー800に相当する
  • 手袋 ワークマン薄手軍手
    岩場では流石に破れた 安いので気にならない

装備

  • Backpack exped BlackIce 30L
    防水で強度があって余計なものがない 今日のような山行にピッタリ
  • ストック なし
  • ヘルメット Petzl シロッコ
  • ダブルロープ30m・下降器・引き上げ用ガチャ・スリング・トライカム
  • ツェルト
  • 針金・結束帯・ダクトテープ・簡易シーネ・テーピング
  • 非常食
  • バッテリー・ケーブル各種・ラジオ
  • ヘッドランプ(Petzl swift RLバッテリー×2、bindi)

地図・標高

合計距離: 18422 m
最高点の標高: 3188 m
最低点の標高: 1079 m
累積標高(上り): 3466 m
累積標高(下り): -2393 m
平均ペース: 2.35 km/h
総所要時間: 12:51:30
Download file: 20220828.gpx

EK度数

(距離km + 登り累積標高差m ÷ 100 + 下り累積標高差m ÷ 200) = 50

コースタイム

新穂高温泉バス停 01:19 – 01:23 新穂高温泉駅 – 01:35 小鍋谷ゲート – 02:01 穂高平小屋 – 02:34 白出沢出合 02:36 – 03:25 重太郎橋 03:29 – 03:37 白出大滝 03:57 – 04:13 荷継小屋跡 04:14 – 06:13 穂高岳山荘 07:03 – 07:31 穂高岳 07:41 – 07:57 馬の背 07:58 – 08:03 ロバの耳 08:15 – 08:19 ジャンダルム 08:37 – 09:22 天狗のコル 09:38 – 09:47 天狗岩 09:52 – 09:55 逆層スラブ 10:07 – 10:13 間ノ岳 10:38 – 10:53 赤岩岳 11:05 – 11:14 P1 11:17 – 11:20 西穂高岳 11:27 – 11:43 チャンピオンピーク4峰 11:46 – 11:54 ピラミッドピーク 12:00 – 12:13 西穂独標 12:20 – 12:46 西穂丸山 – 12:56 西穂山荘 13:22 – 13:47 旧ボッカ道分岐 13:48 – 14:08西穂高口

コース状況

奥穂高−西穂高間は破線扱いの登山道。
特に厳しいところには鎖などが配置されている。
信用できる支点もあれば抜けているハーケンがぶら下がっているものもある。

奥穂高→西穂高は下り基調であるし、下降にものすごく厳しいところがない。逆に反対向きであれば懸垂したくなる(どこも10m未満)ところがあると感じた。

総じてマーキングがされているため、注意すれば見逃すことはない。

消費フード

  • オレンジジュース1000ml
  • お茶600ml
  • 水500ml
  • コーラ250ml
  • おにぎり2 持ち上げて小屋で朝ごはん
  • 高カロリークッキー1
  • パン0.5個
  • ソーセージ1本
  • フルーツパック1
  • 西穂でラーメン

ギャラリー

記録

道の難易度と装備について備忘録的に。

良いか悪いかは意見が分かれるとは思うが、今回ルートの下調べはほとんどしていない。
白出沢は重太郎橋って橋があって岩切りした道があって階段やらはしごやら多数あって最後はゴーロ歩きっていうくらいの知識。
奥穂西穂間は主要なピークと「馬の背」「ロバの耳」「逆層スラブ」というキーワードとそれぞれの様相を知っているくらい。
youtubeに最初から最後まですべて記録した動画は多数あるが、見なかった。
このルートの肝は、体力とほどほどの登攀力と天候と考えたが、前2つは装備も含めて多分大丈夫だろう。最後の天候だけはかなり注意した。

白出沢。
簡単な道ではないことは明らかだが、奥穂高に行く最も楽な道でもある。しかし実際のところは初めての奥穂高なので比べられない。
序盤の沢沿いの樹林内に問題はない。左右から草がかぶってくるところはあるが、石を並べて組んだように歩きやすい。途中からトラバースに入り重太郎橋に向かう。枝沢から流木・石が流れ込んできて崩壊したりしている。そこ以外は特に問題なし。
重太郎橋は想像より小さかった。手前に修繕用の木材が積んであったが、この長さなのか?と訝しんだくらい。しかし超重要な橋だ。あの流れで渡渉はありえない。写真を取りそこねた。
重太郎橋〜荷継小屋跡は命の危険という意味で一番危ない。鎖・階段・はしご・金属ステップ。様々に整備されていて安全が最大限確保されている。
ところどころルートがわかりにくくなっているが、迷ったのは2箇所。
2020m付近で鉱石沢?を渡るが、その対岸でロストした。水場ともされている場所なので水を取りに行く踏み跡が紛らわしかったのだろう。沢を渡らず直登でも合流したかもしれない。どちらがいいかは暗くてわからなかった。
その次は荷継小屋跡を超えて2225m付近。樹林が切れて草原になったところで踏み跡が分かりにくくなった。しばしウロウロしていたらピンクテープを見つけて復帰したことが分かった。
この2箇所ともテープが無かったら暗闇では迷子になるところだった。
ガレ場に入るともうどこが登山道なのかは俄には分からない。が、よく見ると石が並べられたように見えるところがある。時折白や黄色のペンキが塗られていたりもする。
並べられた石の上は安定していて歩きやすい。並べてないところに乗ると途端に浮石だらけで歩きにくくなる。不安定な浮石の上を歩けば歩くほど、細かい足部の動きで下腿の筋は消耗される。自分は左の腓腹筋を少し痛めてしまった。こういう微妙な消耗や傷害が後ほど効いてくることになる。
すぐには見えない「登山道」があることに気付いてからは浮石の上を無理に歩こうとせず、安定した石組みを探して歩くようにした。

テープを付けたり橋を修繕したり石を並べたりと登山道が整備されているからこその登山であることが身に沁みる経験だった。
まだその作られた安全の範疇を自分は出ていないようだ。

ちなみに小屋に着くまでずっと小雨が続いた。強くなったり止んだりの繰り返し。樹林帯では傘を指して歩いた。岩場では少し強くなってもウィンドシェルの撥水でしのいだ。
小屋に着く頃にはベースレイヤーはわずかに濡れる程度。それでも少し凍えるが、着替えるほどでもない。ミドルを羽織って水を吸わせて小屋のストーブ近くで着乾かした。
小雨時のウェア選択は未だに答えが得られない。

小屋に入ると本降りになってしまった。あぁ今日は雨の中の展望のない奥穂高岳で終わりか…と諦めた。体が温まるまで小屋ですごそうとコーヒーを頼み、持ってきたおにぎり2つを頬張り、手ぬぐいを買った。
そのうちに雨が止んだようだ。天気関係のアプリやHPを確認するともう降らないと確信できた。
とりあえず奥穂高ピークまで向かってみよう。

序盤だけ登攀要素があるが、以後は岩稜歩き。下りでは事故に注意だろう。
誤算だったのは思ったよりも距離があったこと。もっと小屋から近いと思っていた。

奥穂高岳に到着する頃には少し青空も見えたりする時間もあった。写真を沢山撮る。

前穂高から明神岳の稜線が美しい。
上高地から明神岳を超えて前穂高に向かうルートは計画済みなので、そのうちに。
「通常は」二峰からの下りで懸垂が必要なコースなのでその準備で。
通常は、というのはクライムダウンしている記録も沢山あるから、という意味。果たして懸垂での事故の確率とクライムダウンでの事故の確率は差が出るだろうか?
自分は懸垂を選択するということでしかない。

さて、奥穂高岳で再度天気確認。今日の天候・気温で積乱雲が発生するとは考えにくいので、にわか雨からの雷はないだろう。レーダー上は前線風に雲が伸びているがこちらには向かわない予報。またそのような雲も肉眼的には見えない。
奥穂高までの岩場もすでに乾いていて濡れているところはなかった。
進もう。
少し先の広いところで、ハーネスを装着して必要最小限の装備をぶら下げた。ロープはザックの中で。

馬の背と思われるところを徐々に下降する。左右切れ落ちて怖い。岩の上の平均台歩きは怖い。尻と四足で進んだ。
クライムダウンになればスタンスホールドとも特に問題なく下れる。
少し登り返すと次は大きな岩が積み重なるようになっている稜線。狭いところも広いところもある。ここは立って歩いて超える。
微妙に左から巻きながらジャンダルムの奥穂側の基部にたどり着く。
少し離れたところから壁を眺めるとトレースが見える。途中でトレースが分かりにくくなり、その上にスリングが一つ残置されているようだ。つまりそこから懸垂しているということだろう。たしかにそこはスタンスが足りない感じ。
眺めていると右の岩場の方に階段状に登れそうなところがある。一つ張り出した岩の下をトラバースできれば行けそうだったし、そのトラバースもできそうに見える。
このように確認して斜面に取り付いた。現場で見た感じも同じだったので右のトラバースに進んでみる。張り出した岩の下でザックが引っかからないように注意して(下は新穂高側の崖へ張り出している)、右奥から階段状の部分に取り付くと簡単に上に登れた。
お勧めするわけではないがルートは写真に張っておいた。
といってもこんなところに取り付きたい人は見たくないだろうけれども。

ピークに出ると先行者が2名。奥穂高からジャンダルムのピストンのようだった。彼らの写真撮影が一段落着くのをを待ち、ありきたりな写真を撮影した。
降りるときは西穂側から。こちらも十分に怖いけど…
降りて再度進むかどうか検討する。答えは同じ、進む。

岩場をどんどん下降する。おいおいどこまで落とすのか…とビビる。岳沢小屋からのガイド付きのソロの方と5人パーティとスライドした。ガイドの方はショートロープで確保されていて、パーティは最後尾がロープをチェストコイルにしていた。皆さんハーネス・下降器は装着。
鎖のついたルンゼを下降する。ようやくコルに着いた。岳沢から取り付いて登ってもなかなかにハードなコースだなと感じた。

コルで上半身をウィンドシェルだけにスッキリさせた。下半身はまだ冷たかったので雨具のまま。終えてみると破れていたので脱いでしまっておけば良かったと後悔。
少し補給。あまり食が進まない。

天狗の頭への取り付きはしばしクライミング。その後斜度は緩くなって登る。
3人とスライド。雨のなか西穂山荘を出ないとこの時間にはたどり着かないだろう。確認はしなかった。
誰もクライミングの装備は身につけていない。

天狗岩がいまいちどれか分からない。下降して右から巻くところで一度登ってしまったが、その薄いトレースが岩への踏み跡だったのだろうか。
とにかくリルートして右から巻いて進んだ。

このあたりから、あれ?逆層スラブってどこにあるの?、通ったっけ?って思いながら進む。どこにあるか確認してなかっった。
そのうち鎖だらけの変な斜面に出た。
あーここが逆層スラブか。確かに逆だわ。
しかし思っていたよりも斜度がない。落ちたら死ぬからしないけれども、トレイルグリッパーのグリップなら滑らずに立って歩いて降りられそうな斜度だった。
とはいえきちんとスタンスホールドを確保してクライムダウンしようと思うとそれも難しい。慎重に、でも鎖は掴まずに降りた。

重い足を持ち上げながら間ノ岳へ登り返し。スタートはまたクライミングから。
間ノ岳のピークでさすがに疲れて休止。フルーツを食べる。今日は補給が甘い。バテてるのはそのせいか。
ここの下りでも一度変な踏み跡を追って登り返してしまった。どうみても下に降りられない岩峰にでたのでリルート。まだ右下を巻くようだった。鞍部に降りた。

記憶している限りでは西穂高岳まで名前のついたピークはあと一つ。しかし実際のピークは3つだった。中央の小ピークは左から巻いていた。左巻きはここだけだったような。
この巻きの後の登攀が実は今回一番危ないと感じた。疲れていたこともあるだろう。逆方向だと鎖なしには降りられないのではないだろうか?
上にはこれでもかと言うくらいに懸垂用の支点や残置があった。逆向きに縦走するなら懸垂すると思う。鎖に捕まるより懸垂の方が絶対に安全。
最後の小ピーク(P1?)に登ると後はビクトリーロード。手の届きそうなところに西穂高岳と登山者が居る。
ジャラジャラぶら下げてピークに上がってきた疲れ切ったおじさんは殺気立っているように見えたのか、誰も特に声はかけてくれなかった。こちらも応じる余裕なし。
写真だけぱっぱと撮って下りに入った。多くの登山者が登ってくるので待つ時間も多く、ある意味休憩になる。
独標でヘルメット以外の装備を解除した。

ヘロヘロになって西穂山荘に到着。ラーメンを食べてコーラを飲んでようやく生き返った。
残った水分は300mlで到着。際どかった。穂高山荘で補給しておくべきだった。

何が疲れたのだろうか?
朝の白出沢の登行、岩場の緊張感、数字に現れないアップダウン…
下調べしないで得た感動と裏返しの緊張・切迫感?
2回目があるとしたら少しは楽になるだろうか?
それとも感動が激減してつまらなく感じるのだろうか?

ルートファインディングに関して言えば、マーキングはほぼ完璧にされている。視界があればほぼ迷いようがない。
だから初見でも一人でこれだけ歩けたということになる。
マーキングがない先導もいないバリエーションルート(例えば北鎌)だったらどうだったのか?

踏み跡はしっかりあるだろうがマーキングのない明神−前穂高を一人で行こうかと思い上がっていたさっきの自分を思い出して、いろいろ考え直そうと思った。
ルーファイに自信がありますか…と。少しは下調べした方がいいのではないですか…と。

最後に。帰ってから読んだぼちぼちいこかの記事は興味深かった。西穂側からと奥穂側からの縦走の差について述べている。
もし次に歩くのならば、西穂山荘で前泊して逆向きに歩いてみたい。
全く違う稜線に出会えるだろうと確信した。

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