これでもか...というほどの晴天,ほかほかの春の日でした.
ほんとに地震があったのかと思うくらいののんびりした日和.
余震は続いているものの大きなもの*1はありません.
それは病院という比較的図体の大きな建物にいるからで,直後の報道を見ると実際は震度5くらいはあるのですが.
慣れてしまったのかな...
今日の外来は通常通りに運営しましたが
避難所から来ることが出来ないのかあまり患者は来ません.
むしろいつものように普通に通院する人の方が多いくらい.
外傷も来るには来ますが,片付け物をしていて指を挟んだとか落ちているもので足を捻ったとかその程度です.
緊急手術が必要なものはなく,待期的でも問題ないものばかりです*2.
実際,今日は簡単な予定手術を一件施行しました.
スタッフにムリが出ない程度に一日一件ずつくらい消化していく予定です.
今日思ったことは
病院という形で活動する以上は「被災者が被災者を治療する」ということにしかなってないので,
どうしてもムリが出来ないということです.
それぞれのスタッフは家庭があり,特に女性の多い職場です.
夫や子供の面倒もある程度見つつ*3,
家も片付けたいだろうけれども仕事もしなくてはならない状況.
様々な支援が入っていますが,ある意味そこにおんぶにだっこさせてもらって
病院を午後閉鎖*4させてもらっている現状です.
そこには余力を残しておかないと初日のような戦場状態に突入した場合にパワーがそがれる可能性もあるからと理解しています.
初日のようなトリアージを本格的に行わないといけない状況の場合は非番とかどうとかは関係ないので.
内科的にもあまり患者が来ない状況らしいのですが,やはり多くの支援が救護斑として被災地中央とか避難所を支えているからでしょう.
思ったよりものほほんとしていられる現状に甘えるのもどうかなぁ...とも感じます.
なんとなく地域が見えていないような感じで.
病院で仕事をしていると残念ながら避難所の状況とかが見えません.
意外と町は平静としているようにも見えなくはないので*5.
スタッフが自分の地盤を回復することが大一番ですが,そのうえで病院の機能を早く正常化させることがよりよい安定につながるのかなぁと感じました.
といっても「家がつぶれたー」と半泣きになりながら仕事をこなしているスタッフにはとてもとてもムリは言えないのですが...
食事はなんといつもの弁当屋がすでに活動再開していて食べることができました.
買い物も特に不便はないとの噂です.
夜になって家の状態が心配で見に行ってきました.
水が出るようになっていました.
二日ぶりにシャワーをさっと浴びてきました.
ありがたやありがたや.
妻に連絡すると金曜日くらいには帰って来ようかなとのこと.
家族としては一緒にいることが健全だとも思うし,逆に何かあったらと心配に思うことところもあるし.
諾とも否とも言えない気持ち.
それよりも地元の人間でない自分は簡単に妻子供を避難させていることに何となく引け目を感じる気持ちもあり.
地元のスタッフは子供を避難させることもできず自宅が被災しそれでも仕事を通常通り行っている.彼らは逃げたくても逃げられない.
じゃあ子供たちを避難させなければ良かったかと言われると...やっぱりそれも怖い.
無駄なジレンマです.
マスコミも大挙してきています.
特に報道を見ていないのでコメントも出来ない部分はありますが,
どのように報道しているか心配です.
朝,病棟を回診していたら無造作にカメラを向けるので少々いらだちました.
確認したところ病院上層部に許可を得ており,患者の許可があった場合のみに取材するとのことです.
患者と部屋の中でしゃべっている内容を外で聞いていてメモしたりしています.
真実を伝えることは確かに大事なのだと思います.
患者の語るストーリーは大事です.リアリティがあります.
個人情報にも気を配っていることでしょう.
しかしなんか違和感.
渦中にいてこちらが見えていないのでしょうか?
この地震,自分が体感した揺れと実際につぶれている家屋の状態と数とを考えると奇跡的なくらいに被害が少なかったと思います*6.
crash syndrome的な患者はいませんし*7.
多発外傷もいません.
人口密度が低いといってしまえばそれまでですが,非常に幸運な状況だったと思います.
外傷の初期治療にあたるものとしては本当に不幸中の幸いだったと思いました.
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