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「10万個の子宮」 村中璃子 著

今更ながらに読んだ。

 

自分のHPVワクチンに関する意見は、接種すべし、である。

ここまで発がんとの因果関係がはっきりしているウイルスを放置するなんて考えられない。

たとえワクチン自体にある一定の割合で副作用が発生するとしても、だ(現在分かっているデータでは極めて確率は低い)。

比較する子宮頚癌の死亡者数があまりに多すぎるだろう。

 

が、この本の趣旨はあまりそういう意見を声高に叫ぶ内容ではない。

この問題を巡って様々な立場で様々に動く様々な勢力を描いていると、言えばよいだろうか。

症状を出した少女、症状を出した娘を持つ親、

それを精神疾患と冷ややかに見る医者・薬害だと診断する医者・薬害と届け出ることで医療費がただになる制度を利用するために診断書を求められる医者、

ワクチン行政を推し進める厚労省・薬害の判断をするために立ち上げられた研究班の行政側のお役人、

研究班の各班のトップの教授・データ作成を求められる周囲の研究者、

患者側から陳情されて名古屋市一斉調査の英断を行った某市長と研究成果をまとめた市大の教授、結果として薬害関係なしの結果をあまり目に届かないようにそっと処理する市役所役人、

薬害訴訟を支える弁護士、薬害訴訟を有利に構成するための書物を著した弁護士(の書いた本)、研究班教授への名誉毀損で著者を訴える弁護士群、

薬害訴訟患者の市民団体をバックで支えることの多い、左向きの人々、

時に同調するメディア、概ね冷ややかなメディア、持ち株会社経由で圧力をうけてボツになる記事、

そして最後には、幸い症状がほぼ消失している元患者女性の心境心情を紹介している。

みんな、それぞれの立場で、それぞれの利益のために戦っているし真摯ではあろう。

しかしあまりにも複雑すぎてどれを真実とすべきかはぼやけてしまう。

一つの事象をここまで多彩に歪めてしまうほどに様々な視点・力があることを考慮しつつ、自分が正しいと信じるもの(願わくば真実)を取捨選択したいものだ。

 

このような思いはテレビを見ても得られないし、ネットを読んでいても得られない。

この本にしても、あくまでも著者の視点だ。

この本についてもネットでは様々な意見が書かれている。一部は受賞を巡ってのコメントにも現れている(村中璃子wikipedia)。

彼女を名誉毀損で訴えた裁判は最高裁に持ち越されそうだが、今のところは敗訴ではある。

wikipediaにもその顛末は書いてあるが、その判決の意味はこの書籍を読まないと理解できないだろう。

 

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