何千と怪我人の手術をしているが、怪我をした人は必ず言う。
「こんな事初めてや」
そりゃそうだ。同じ怪我を二回も三回もしない。
もちろん怪我しようと思ってする人もいない。
なって初めてこう言う。
安全管理の観点で言えば、起こってからでは遅い。
言い尽くされていることだが、
アクシデントは幾多のインシデントの氷山の一角に過ぎない。
なんとなく危ないと思いつつも今まではなんとも無かった。
でも起こって初めて「こんな事初めてや」、だ。
同じアクシデントでも、そのTPOで影響度は大きく変わる。
いま、雪山で怪我をしたら…
大病院のICUは新型コロナウイルス患者で埋まっている。
命がかかっていたらどちらが優先されるだろうか? 分からない。
ICUを免れる状態でもコロナ対応で忙殺されて、怪我人は後回しになるかもしれない。
手術が必要でも普通にはできないかもしれない。
医者はそれでも可能な限り最大限に治療するだろう。そのためにいるのだから。
近くの里山ならいい。適度に運動できて人にも会わず理にかなっている。そうそう怪我もしないだろう。
それが遠隔地の雪山での怪我だったりすると非常識の極みなので非難は免れない。
大学なら退学、普通の会社ならクビではなかろうか。
少なくともいま自分が山で何かあったら社会的に抹殺されることは間違いがない。
自営業だったり子供が独立しているような、失うものが少ない人は構わない。
自分にはまだ養わなくてはいけない家族がいる。
幸い⁈山に行く時間も取れないから遭難しようもないし単なる杞憂に過ぎないのだがー。