「北海道の山と谷」という本がある。以前は上下巻の2冊だったようだが、新装改訂されて1-3冊となったらしい。
今回の北海道遠征に向けて1-3部の三冊を購入した。完成したばかりの第3部が届いたのが出発数日前。
フェリーの中の暇つぶしにしようと三冊ともほとんど開かずにフェリーに持ち込んだ。
今回の遠征はもとより名山めぐりなので、誰もが登る名山を誰もが使う最も一般的なコースから登る計画を25個ほど用意して、あとは天候任せだった。
特に大きな問題もなく名山巡りはできた。
が、この本を見ていなければ感動は更に増していたのではないか、と思う。
この本、当然一般的な夏道ルートも紹介するがそれは全体のおよそ2割程度。
残りは冬季の登山コース・山スキーコース、夏季の沢登りコース、本ちゃん岩場のクライミングルート(コース名、難易度入り)、冬季の雪稜登攀ルートなどを紹介している。
地元のガチの山ヤさんが汗を流して作った力作だった。
例えば風不死岳。
もちろん今回通った北尾根コースも載っている。他に冬季の別の尾根からの登山ルート、苔の洞門という涸れ沢のゴルジュからの涸れ沢ルートなどが紹介されている。
例えば日高山脈。
普通日高山脈の山々は別個に登るものだろうが、その全縦走路(ある程度踏み跡はあるが、ハイマツ漕ぎだらけのよう)なども紹介されていた。
未開の地で単独でそのようなバリエーションに行くつもりは全くなかったが、一般登山道での登山が自分の中で少々色あせてしまったことは事実だった。
さらに冬季に訪れてみたい欲求が起こってしまうのはしょうがなかった。
夏季に自分のしている登山のなんと薄っぺらいことか。大自然の表側をなぞっているだけに過ぎない。
その山行ですらあれほどの感動を覚えるのだから、更に踏み込んだらそこにはどんな景色が待っているのだろう。
技術が欲しい、経験が欲しいとつくずくに思わずにはいられない。