念願の千丈平泊へ。
日付
2022年3月12日土曜日〜13日日曜日
メンバー
ソロ
ウェア
- ドライレイヤー なし
- ベースレイヤー
teton bros. power wool lite hoody
暖かくて涼しくてバラクラバモードになってあまり臭わないとってもいいヤツ
Polartec power woolという素材なのだがもう扱っていないようだ
mont-bell ジオラインMWタイツとメリノウールパンツ - ミドルレイヤー
Norrona trollvegen warm/wool1 zip hoodie
ほとんど着っぱなしだった
Rab alpha flash jacket
行動着なのだがそんなに寒い時間が無かった
夜間にダウンの下に着用 - ダウン
mont-bellパーマフロストライトジャケット
テン場と宝剣での待機中と
mont-bell ULダウンパンツ テン場で
mont-bell エクセロフトフットウォーマー
テン場で外歩きにも使える頼もしさ - アウター
Norrona lofoten Gore-tex anorak(赤)・pro light pants(黒) - 帽子
mont-bellジオラインクールメッシュ→MHWビーニー - 靴下
mont-bellメリノトラベル この厚さがちょうどよい - 手袋
ワークマン薄手軍手とmont-bellメリノグローブを交互に → 時折BD waterproof overmittsをadd-on
装備
- ski
Voile V6 BC 163cm 126−96−108 - binding
Dynafit TLT speed radical - boots
Dynafit tlt speedfit pro - pole
BlackDiamond carbon wipet - シール
G3 alpinist plus grid - ザック
mont-bellエクスペディションパック70L
大きすぎず小さすぎず - Dynafit ski crampon 100 使わず
- ゴーグル
SWANS Rush-XED BLBK
SWANS ROVO-MDH-CU SMBK
使わず - アイゼン
Petzl leopard leverlock
初めて使用 軽くて脱着が簡単でいい - ピッケル
Petzl Ride - ヘルメット
Petzl シロッコ - ヘッドランプ
BD storm、Petzl Bindhi - ビーコン
Mammut element barryvox
使いはしたが誰が捜索してくれるだろう… - プローブ
K2 probe alu230 - ショベル
Ortovox professional light - エマージェンシーその他
細引・下降器・引き上げ用ガチャ・針金・結束帯・ダクトテープ・簡易シーネ・非常食 - 幕 Big Sky International Chinook 1.5P
インナーテントは外して外張りのみ
ポールは3本で4シーズン対応
純正のテントシートが床代わり - シュラフ mont-bell スーパースパイラルダウンハガー#3
- シュラフカバー rab alpine bivy 内幕代わり
- マット exped downmat HL winter M
暖かい 背中や腰が寒くなることは無かった
表面が水に弱そうなのが心配になった
厳冬期用と思うべきか - 火器 JetVoil
流石に速い
110ml1缶で3L分の水作りと3食分の調理実施
地図・標高
最高点の標高: 1821 m
最低点の標高: 457 m
累積標高(上り): 2052 m
累積標高(下り): -1018 m
平均ペース: 3.89 km/h
総所要時間: 10:56:19
最高点の標高: 1840 m
最低点の標高: 457 m
累積標高(上り): 1535 m
累積標高(下り): -2562 m
平均ペース: 4.95 km/h
総所要時間: 10:10:03
コース状況
一般的に3月は一里野温泉の発電所から山毛欅尾山を超えて入る。残雪期は中宮温泉ビジターセンターから入ることが多いだろう。
先日、発電所の架け橋を確認しに行ったが、全く復旧されていなかった。
林道:
温泉設備まで除雪されている。林道を歩き谷(橋)を一つ越えたらどこから上がっても1052m三角点に着く。登りやすいところを登る。
今週の気温の上昇で急激に雪が少なくなっている。帰りは融雪が進んだのか大きなツリーホール(というか雪切れ)が多数あり腐った雪もあいまって滑走に難儀した。橋を渡ってすぐの植林地通過がおすすめ。
稜線-大笠山手前の最低鞍部:
稜線のツリーホールを覗き込むと4mほどのところもある。
大笠山に向かって右に雪庇を形成。左の枝尾根ももれなく大笠山側に雪庇を形成する。ポコを左巻きする際に枝尾根があるとはまる。
とにかくアップダウンがあり、ウロコ板は大活躍。
大笠山手前の最低鞍部周囲:
大笠山手前の最低鞍部から大笠山に向かう途中と千丈平に、針葉樹林(種類分かりません…)がぽつぽつと見つかる。それ以外はほとんどブナとダケカンバ。
最初の針葉樹で右折、そうすると進行方向に3本の針葉樹があり、そこで乗り越すと千丈平に続く。大笠山に向かうにはその木を見ながら左折するとスムーズに尾根に乗れた。
帰りに千丈平側から3本の針葉樹林を探すが、千丈平側からは見えない。大きく左に回り込んでしまい登り返す羽目になった。1570mくらいまで登り返さないと雪庇があって谷を回り込めない
大笠山周囲:
無木立だが傾斜がゆるいので怖いところはない。千丈平側に雪庇を形成する。1800mくらいから氷化しているところもある。
ピークの西に池があるが、そこは凹んだ地形となっていた。歩いてみればよかったか?
大笠山-笈ヶ岳稜線途中:
パックされた雪はピークから50mほど、それ以後はザラメ。左に大きな雪庇を形成するので近寄らない。樹林が出てきたらどこでも容易に千丈平に降りることができる。笈ヶ岳方面からピストンしたと思われる数日前のトレースがあった。
千丈平:
千丈平には3本の針葉樹がありおよそ正三角形の位置関係。宿泊地は1502mに近い奥の木の横にした。
ホワイトアウト時に目印として役立つかもしれない。
風穴を形成するとのことだが、見当たらなかった。
周囲の稜線から雪崩れてくることはないと思いつつ、少し高い1502m近くに幕営。もう少し奥のほうが笈ヶ岳の眺めが良かったかもしれない。
千丈平-笈ヶ岳:
前日夕方に写真を取りつつルートを検討した。
まず宝剣と錫杖の間の鞍部にどう上がるか?
①1日目の下降ルートから稜線にあがり宝剣岳を越えていく、②宝剣の西斜面をトラバースして乗り上げる。
①は容易。②は斜度が強く雪質を選びそう。
見る限りはデブリはほとんどなかった。しかし木立の濃淡を考えると雪崩の走路になっているところもあるのだろう。
暗い中の行動となるため、目印となる木々を写真で確認した。
実際の行動時は、斜度はあるものの安定した斜面かつ木立があり安心。体を隠せる岩場が2ヶ所あった。
容易に宝剣の西尾根を登り上げることができ、せっかくなのでピークを踏んだ。真っ暗で風で寒い。
次の鞍部から先は視界がないと厳しいのでここで穴を掘って風を遮って待機。40分も過ごしてしまった。ポットに入れたたまごスープで温まった。
錫杖との間の鞍部に木々は少ない。
鞍部から錫杖を超えて笈ヶ岳との間の鞍部にどう抜けるか?
写真で見る限り全面雪がついた稜線沿いは90度ほど立ち上がっているように見え厳しい。そしてピークの直下も急峻な斜面と岩が見えている。さらにその下に雪割れが見えた。右の岩峰の手前には回廊と呼びたくなるような段があり、そこから岩の下は歩けそうだった。しかしその向こうは見えず、どうなっているかわからない。
実際の行動。
鞍部からの斜面は急だがトラバースできそうだったので高度を下げつつ進むと、雪割れ部分①にきた。
この雪割れの隆起上を歩いて写真で見えた段②に乗り上げると岩の下を右に進めた。この吹き溜まり風の段はサラサラパウダーが乗っていてずり落ちそうになり必死に乗り上げた。
その奥にはまた岩壁があり右の斜面③も急。とてもトラバースして回り込めそうにない。巻いた岩の左裏に小ルンゼがあり、ここはスキーでも登れそうだったので一段登り上げると、右に回廊④のように回り込めた(下写真赤線)。
こうやって見返すと錫杖のピークはすぐそこだった。行けばよかった。まぁ暗くて危なかったか。
地形図だけを見れば稜線通しで良さそうなのだが…
もう少し雪が少なくなると、藪や木々を掴んで稜線通しで登り降りできるようになるのだろう。
鞍部に向けて稜線近くまで来ると木々が濃く、氷化している。かなり急で鞍部にスキーで降りるのは危ない。
対面の笈ヶ岳への斜面もかなり急でスキーでの上り下りは面倒そう。
そもそも何回もシールの貼り直しをするのが面倒だった。
ここにスキーをデポしアイゼン歩行でピークに向かった。20m下げて90m上げる。雪面はややパックされた状態だが、一部ダブルウィペット使用。
帰路は岩壁裏の小ルンゼは通らず、乗り越して北西のルンゼを滑走した(写真青線)。ナイスザラメ。しかしデブリが多いのでさっさと通過。
以後はただ斜面をトラバースするだけ。デポ地からテント場まで少しの登り返しも含めてわずか15分ほどで戻ってこれた。
EK度数
(距離km + 登り累積標高差m ÷ 100 + 下り累積標高差m ÷ 200) = 75.7
コースタイム
一日目
新中宮温泉センター 02:17 – 04:32 牛首三角点 04:34 – 05:59 やどみ尾展望台 06:01 06:21 スズハラ(中宮山) 06:22 – 08:34 大瓢箪山 08:51 – 08:53 大瓢箪山展望台 – 12:02 大笠山 12:15 – 13:20 千丈平宿泊地泊
二日目
千丈平宿泊地 03:33 – 04:40 宝剣岳 05:20 – 05:45 錫杖岳南(スキーデポ地) 05:55 – 06:16 笈ヶ岳 06:22 – 06:30 錫杖岳南(スキーデポ地) 06:46 – 07:02 千丈平宿泊地 07:25 – 08:13 最低鞍部 – 09:58 大瓢箪山展望台 10:01 – 10:09 大瓢箪山 10:22 – 11:43 中宮山 12:01 – 12:01 スズハラ(中宮山) – 12:13 やどみ尾展望台 12:14 – 12:57 牛首三角点 12:58 – 13:44 新中宮温泉センター
消費エネルギー
- オレンジジュース 600ml
- コーヒー 540ml
- 水 約2L
- ゼリー2、OS1ゼリー2
- アルファ米3、お茶漬けの元2、卵丼の元1
- ソーセージ2本
- いちご大福
- 栗どら焼き
- 一本満足1
- 味噌汁2
- 卵汁2
- ドライフルーツ(いちじく) 100g
ギャラリー
記録
百名山から笈ヶ岳が漏れた話を読んでこの山に興味を持った。郷土の山という思いが強い。
いろいろ調べているとその麓に千丈平という開けた台地があることを知った。
何でも残雪期に訪れると「風穴」というでっかい深い穴が開いているとか。
大笠山も笈ヶ岳もすぐそこにある展望地。
あぁここに宿泊して眺めたいと思った。
登山をはじめてわずか数ヶ月の身で。
それから約7年。
残雪期に冬瓜山経由のルートで笈ヶ岳の登頂は果たした。大笠山は何度も行っている。
しかしいつも千丈平はちゃんと見れたことがない。
いつか必ずと思っていたが、チャンスが訪れた。
雪は多く程よく緩んで天気もいい。
今週末を逃したらまた来年になってしまうだろう。
金曜はそこそこ忙しく、食事を済ませて寝たのは22時。
0時に起きて出発。
2時過ぎに駐車場を出た。集落を抜けていくが怪しい人に見えないだろうか…
稜線まで雪は少なくなかなか急。しかし時間はたっぷりあるので、焦らずのんびり休み休み登った。
なんだかんだ言っても宿泊装備は重い。腰にくる。
稜線に出てからもアップダウンが多く疲れるので、気長に歩く。
大瓢箪山までは来たことがある。なんとなく道の感じも覚えている。
大瓢箪山から先はプチ冒険の始まり。
変わらずアップダウンを繰り返す。
時間に余裕があったら、もしかしての水晶滝見学と思っていた。地図では水晶谷に降りれそうな気がしていたのだ。滝の標高は1000mほどなので埋まっているだろう。
またシンノ又方面に行けば緩やかに千丈平に登り返せるだろう。
1491m地点でしばし悩んだ。
コース上の1290mくらいのポコは見える。その先の谷は見えない。ダメだったら登り返せばいいではないか。
しかし一人で行くか???
やはりここは心の壁を乗り越えることができなかった。
素直に稜線を進み大笠山に向かった。
1571mは左から巻きたかったが急で中途半端になった。朝はブロックでスラフが落ちていってもろくて危なかった。
最低鞍部で一息。この辺りは幕営適地だろう。
1657mへはまっすぐに登らず右から迂回していく。
そこから先は緩やかなビクトリーロード。
ビデオを取りつつ登った。
そして雪の大笠山に登頂。
少し悲しかったのはスキーのトレースを見つけたから。それも笈ヶ岳からピストンしているようだった(後日、医王山から順尾山-大門山-大笠山と経由して、さらに北縦走路から白山まで行ったルートと判明、すごい!)。昨日か一昨日だろう。
しかし翌日の笈ヶ岳アタックではそのトレースは参考になった。ありがとうございます。
今回の山行で唯一「滑った」と言えるのは大笠山山頂から千丈平までの間。
少し重いがザラメの斜面はどこでも自由に滑れて楽しかった。
あっという間に千丈平に到着。
1502m地点に向かい程よいところにテントを立てた。
この二日間はかなり気温が高く、氷点下になっていないのではないだろうか。
自宅で0℃のよるにベランダで試したとおりに、ビビーにmont-bellシュラフ#3を入れてダウン上下を着れば、野宿できそうだった。
一応テントの外張りだけは張ったけれども。
とても快適に就寝。
翌朝は2時に起きて朝食とお片付け。幕だけそのまま残して軽装で3時半に出発した。
真っ暗闇の中、GPSだけを頼りに宝剣の西尾根に向けて標高を上げていく。
ちょうど大きな岩にぶつかり、そこから上は木立が続いている。本当はそのままトラバース気味に宝剣と錫杖の鞍部にでるつもりだったが、意外とサクサクと進んでいたので宝剣を踏むことにした。
まっすぐ西尾根を上がった。
寄り道したにも関わらずピークはまだ真っ暗。風はそれなりに冷たいので穴をほって明るくなるまで待機。40分も過ぎしてしまった。
明るくなったところで稜線を確認して先へ進む。
錫杖との間の鞍部から、計画どおりに雪切れ地点を探して下降気味にトラバース。この辺り先行者のトレースは上から合流した。稜線から行けなかったのだろうか。
雪切れ地点を通り越して今度は上昇気味にトラバースすると予定通りに風でできた段があった。
この段に登り、さて右から巻いていこうと思ったが行けそうにない。
左を見ると小ルンゼがあって錫杖ピーク方面に行けそう。
急だったが登ってみる。うまく上の段を右に抜けれそうだ。ここでまたトレースと合流。稜線上で下降を試みるが、スキーでは危ない。スキーをデポして、以後はアイゼン換装してほぼトレースを追うように笈ヶ岳ピークに到達した。
感動。こちら側からも登れたよ。
あまり展望は無かったのでさっさと下山。
シンノ又につながるルンゼは魅力的な斜面だったがもちろん入ることはなく、スキーを回収したら撤収。ただトラバースするだけの下山行為。
テントをサクッと回収して帰路へ。
もうあとはただただ消化試合。うんざりするほどのアップダウンに辟易しつつバテバテの体を引きずってなんとか下山した。
千丈平に泊まれた。最高の景色が見れた。一生思い出になる素敵な山行になった。
願って準備してチャンスをうかがっていれば必ず成就できる。
まだひそかに温めている山行はたくさんある。一つ一つ達成していこう。
1 comment for “千丈平泊で大笠山・笈ヶ岳”